ひと
インタビュー・
クロストーク
2026.04.29 Wed
末谷 拓麻 氏 理学療法士
ロジケア歴4年。病院、整形外科クリニック勤務を経てロジケア入職。趣味はトレーニングジムで身体を鍛えること。
中村 康章 氏 理学療法士
ロジケア歴2年。病院や老人ホームでの訪問看護を経てロジケア入職。休日はロードバイクで遠乗りへ。
まずは自己紹介も兼ねて、それぞれこれまでの経歴を教えてください。
僕は総合病院で9年勤めて、その後リハビリ病院で3年という形です。途中で、同じ法人内の有料老人ホームのデイサービスを手伝ったり、併設されている訪問看護ステーションから依頼を受けて、訪問にも少しだけ携わったりしていました。
地域でいうと、大阪の八尾市で働いていたので、地域柄としてはこのあたりに近い感じはありましたね。
僕は総合病院に3年勤めて、その病院のグループ内にあるデイサービスや老健に非常勤でフォローに行かせてもらっていました。その後、整形外科のクリニックに4年勤めて、そこからロジケアで訪問を始めました。今、ロジケアでは4年目になります。
それぞれ病院やデイサービス、整形外科クリニックなど、別の環境を経験されてきたんですね。以前はどんなリハビリに関わっていたんですか?
総合病院では、肺炎などの呼吸器疾患の方や、整形外科の方が多かったです。特に膝、肩、手まわりの疾患ですね。
その後、回復期のリハビリ病院に移ってからは、脳血管疾患の方が圧倒的に増えました。いろいろな病気の方と接する機会はありましたね。
デイサービスを手伝っていたときは、それこそ疾患も介助量も本当に多種多様でした。在宅に興味を持ったのは、そのお手伝いが一番大きかったと思います。
僕は整形外科のクリニックだったので、子どもから高齢の方まで幅広くリハビリする機会がありました。
日中は高齢の方が外来リハビリに来られて、夕方になると仕事終わりのサラリーマンの方が肩や腰を痛めて来られたり、部活帰りの学生が野球で肩や肘を痛めて来たり。そういう方たちをリハビリすることが多かったですね。
そこから訪問リハビリに進もうと思ったきっかけは何だったんでしょうか。
転職を考えたとき、自分の両親の年齢も考えて、大阪は少し遠いなと思っていたんです。こちらの地域で働こうと考える中で、訪問の分野を探していました。
デイサービスで働いていたときに、いろいろな病気を抱えた方が「家に帰れてよかった」と話されるのを聞いていて。回復期のリハビリ病院でも、ご家族の受け入れなどの問題で、家に帰れない方が圧倒的に多かったんです。
そういう方のお手伝いができる場所はどこかと考えたとき、自分も訪問の分野に行ければいいのかなと思いました。その中でロジケアと出会った形です。
僕は、総合病院、デイサービス、老健、整形外科クリニックと経験してきて、訪問だけはやったことがなかったんです。ちょうど訪問に興味が出ていた時期にロジケアを見つけて、それが転職のきっかけになりました。
訪問に入る前、不安はありましたか?病院やクリニックとは働く環境が違いますよね。
病気を見ることに対しての不安は、あまりなかったです。12年ほどいろいろな病気の方と関わってきていたので。
どちらかというと、お家の中でリハビリをすることに対して、慣れない環境への不安はありました。「家の中でどうするんだろう」というところですね。
僕の場合は訪問の経験がまったくなかったですし、整形外科クリニックでは20分でリハビリを終えないといけなかったんです。その場で即時的な効果を出すことが求められていました。
訪問に興味が出ていた時期に、訪問を経験している友人と話したことがあって。そのときに、「クリニックでやっていた即時的な効果を訪問で生かせるのか」「高齢の方に対して動作を変えるのは難しいんじゃないか」と言われたんです。
でも実際に訪問をしてみると、そんなことはありませんでした。効果が出る方もいますし、維持できる方もいます。それだけでも大事ですし、環境を変えることで変わっていくこともある。そこに楽しさがありました。
訪問の楽しみって、そこですよね。
環境を少し変えたり、体の動き方を少しお伝えしたりするだけでも変化する方がいます。それで「これがやりやすくなったわ」と言ってもらえるのは、すごく楽しみの一つです。
あと、経過が追いやすいというのもあります。毎週同じ曜日、同じ時間帯にリハビリに入ることが多いので。
病院や整形外科クリニックだと、代行も多いですし、その時間に自分が入れないこともあります。でも訪問は時間と曜日がだいたい決まっているので、経過を追いやすい。そこはリハビリもしやすいですね。
家庭の中に入らせてもらえることで、その人が家の中で何をしているのか、どういうふうに動いているのかを実際に見ることができます。
病院だと「多分こんな感じかな」と場面設定をして、模倣動作でやってもらうことがあります。「これで多分いけると思います」と言って、いざ家に帰ってみると「先生、できなかったです」と言われることもあるんです。
でも訪問だと、実際の場面でやってもらいながら見られます。
「この高さは少ししんどいですね」
「これは持ちにくそうなので、こうしてみたらどうですか」
そういう話がその場でできるのは、訪問と病院との大きな違いだと思います。
ちょっとした微調整がしやすいですよね。
靴下一枚変えるだけで変わることもあります。
靴下ですか?
例えば、底に滑り止めがついている靴下に変えるだけで、つるつる滑って足が踏ん張れていなかった方が踏ん張れるようになって、できることが増えたりします。
足の痛みが出ていた方が、普通のソックスから五本指の靴下に変えただけで少し楽になった、ということもあります。そういうところも見ますね。
利用者さんとの関わり方や、モチベーションの部分は、病院や外来とは違いますか?
病院に入院されている患者さんは、「家に帰らないと」という気持ちが強いと思います。
一方で、訪問の利用者さんは「今の状態を維持したい」という方もいれば、「別にリハビリは必要ない」と感じている方もいるかもしれません。でもご家族は、転倒してほしくない、適度な運動をしてほしいと思っている。
本人の希望もあるし、ご家族の希望もある。そこは少し違うところかなと思います。
病院よりも、モチベーションをどう持ってもらうかについて話す機会は増えていると思います。
「良くなりたい」という思いを持っている方は、グンと良くなることも多いです。でも、ご家族に言われてしぶしぶ受けていたり、「私はなんでリハビリを受けているのかわからない」という方もいらっしゃいます。
そういう方に効果を出すことや、リハビリを続けてもらうことは、訪問の難しさでもあります。
でも、そういう人こそリハビリをして、気持ちが高まってきたら嬉しいです。やりがいがありますね。
もともとリハビリへの意欲がなかった人が変わっていくのは、面白いなと思います。
最初は拒否に近かった方が、「先生が来るのを毎週待っているんです」とご家族から言われることもあります。そういうときは「やった!」と思いますね。
心をつかむことができたのかな、という気持ちになります。ご本人にも「できるようになった」「良くなった」という気持ちを持ってもらえたら嬉しいです。
そこに至るまでには、言葉かけや試行錯誤があると思います。どんな工夫をされていますか?
ご家族と一緒に暮らしている利用者さんの場合は、ご家族が一番わかっていることが多いです。
どういう暮らしをしているのか、どういう言葉遣いをするといいのか、そういうことを聞いて、作戦を練るような感じです。その上で、ご本人とコミュニケーションを取って、変わっていけるかを見ています。
男性の方だと、お仕事をされていた頃の話から入ることがあります。
「こんなお仕事をされていたんですね」という会話から広がって、趣味の話になって、「実はまだこんなこともやりたいんだよね」と言っていただけることがあるんです。
そこまで聞けたら、「それなら、こういうふうにしたらできるかもしれませんよ」と提案できます。
女性の方でご家族と暮らしている方だと、「自分がやっていた家事を取り上げられた」という思いを持っている方もいます。そういう方であれば、やっていた家事をもう一度取り戻してもらうことが、モチベーションにつながりやすいですね。
まったく関係ない話から、リハビリにつながることも多いです。
だから、たわいもない話も結構大事だと思っています。リハビリだけを見るのではなく、違う視点から見て、そこからリハビリにつなげられたら、より良くなると思います。
外来で20分という働き方とは、だいぶ違いますね。
そうですね。最初は20分から急に訪問リハビリで40分、60分になったので、「どうしようかな」と思いました。
でも実際には、60分必要な方もいます。20分のリハビリだと、コミュニケーションを取る時間がすごく短いんです。パッと来て、すぐ評価して、すぐ治療して、という流れでした。
訪問では40分、60分の中で、コミュニケーションから入って、そこからリハビリにつなげる。その時間を有意義に使えることが多いです。
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(後編「生活を支えるために、PTができること」へ続く)
後篇では、在宅ならではのリスク管理、多職種連携、働き方、そしてロジケアで働く環境について、さらに詳しく聞いていきます。