ひと

インタビュー・
クロストーク

「めっちゃ楽しいねん」家で話してたら、夫も介護職になった。

2026.05.26 Tue

「どんな人に会えるんやろう」訪問介護を始める前から楽しみだった

「不安は特になくて、楽しみだけでした」
未経験の訪問介護を前にしても、森田さんの気持ちは前向きでした。

ロジケアの訪問介護に入職してまだ約1年。以前は13年間、ネイリストとして働いていました。その後、有料老人ホームで半年ほど勤務し、ロジケアの訪問介護へ。介護職としての経験は決して長くありません。
それでも森田さんの口から出てくるのは、「大変だった」よりも「楽しい」という言葉です。
「初めて行くお家も、不安というより楽しみなんです。どんな人に会えるんやろうって、ドキドキする感じ。やってみたら本当に楽しくて、毎日が楽しいです」

訪問介護という仕事に対して、「一人で行くのが不安…」「利用者さんとの関係づくりが難しそう…」と感じる人は少なくありません。けれど森田さんにとって、利用者さんの家に向かう時間は、怖さよりも期待が大きいものだと言います。


母の看取りで残った後悔が、介護の世界へ踏み出すきっかけに

森田さんが介護の仕事を考えるようになった背景には、お母さまとの別れがありました。

約10年前、母さまを亡くした森田さん。当時は在宅医療でケアマネジャーや介護の仕事に関わる人と接する機会がありましたが、自分自身は介護に強い抵抗があり、思うように関われなかったそうです。

「何もしてあげられなかったことに、すごく後悔があって。それで、この世界に来ようと思いました」
さらに、ネイリスト時代のお客さまの中にも介護職の方がいて、以前から介護の仕事に誘われていたことも、背中を押すきっかけになりました。

最初に選んだのは、自宅の近くにあった有料老人ホーム。子どもが3人いて、末のお子さんがまだ小学校低学年だったため、できるだけ家の近くで働きたいという思いもありました。そこで半年ほど働きながら介護の基礎を学ぶ中で、森田さんは次第に訪問介護に興味を持つようになります。

「施設で働いている時に、施設は恵まれた環境で生活できている人が多いと感じて。本当に困っている人って、家で生活している人なのかなと思ったんです。ちょっとでも助けになりたいなと思って、訪問にしました」


「来週も楽しみに待ってる」その一言が、訪問のやりがいになる

森田さんが語る訪問介護のやりがいは、利用者さんとの関係づくりにありました。

「利用者さんも困っているから利用してくれている。訪問したら嬉しいって言ってくれるし、来週も楽しみに待ってるって言ってくれるんです」

はじめは距離があっても、何度か訪問を重ねるうちに、少しずつ信頼関係ができていく。すると、利用者さんが悩みや困りごとを話してくれるようになるそうです。

「この人は何が足りないんやろうな、何ができたらもっといいんやろうなって考えるんです。それが働きがいになっています」

施設では、排泄や食事などの時間が決まっていることが多い。一方で訪問介護では、利用者さんが自分の家で、自分の生活リズムの中で過ごしています。

「訪問中にトイレに行きたい時は、連れて行ってあげられる。家で好きなところで生活できているから、利用者さんもすごく生き生きしているんです。表情も違います」
訪問介護は、利用者さんの“暮らしそのもの”に入っていく仕事です。だからこそ、決まった業務をこなすだけではなく、その人の生活に合わせて考えることが求められます。

家事も子育ても接客経験も、訪問介護ではそのまま力になる

訪問介護には、掃除、洗濯、調理、買い物代行といった生活援助もあります。
施設勤務ではあまり経験しなかった「料理」について、最初は難しさを感じたそうです。

「利用者さんの家にあるもので作らないといけないので、最初は難しかったです。醤油ひとつでもメーカーの好みがあるので、必ず聞きます。なかった場合は次に何を買うかも確認します」

味付けも同じです。薄口が好きな方もいれば、濃い味が好きな方もいる。自分の家で作る料理とは違い、相手の好みに合わせる必要がある。
しかし森田さんには、長年の家事経験がありました。
「家でも料理を作るので、料理は得意分野でもあります。子どもも上が19歳なので、家事歴は長いです」
ちらし寿司、茶碗蒸し、筑前煮など、利用者さんからその場でリクエストされることもあります。作ったことがないものは、家で練習することも。

森田さんはネイリストとして働きながら、飲食店などでも接客の仕事を経験してきました。リーダーとして人に教える立場になったこともあり、初対面の人と話したり、相手に合わせて関わったりすることには、もともと慣れていたとか。
「事務系はないですね。接客するのも好きやし。人と人。人相手の方が好きですね」
家事や子育て、接客など、これまでの暮らしや仕事の中で身につけてきたことが、訪問の現場でも自然と生きているようです。

難しい利用者さんにも「2、3回後には変化がある」と信じて関わる

もちろん、訪問介護の現場には簡単なことばかりではありません。

言葉でのコミュニケーションが難しい方もいれば、認知症や疾患の影響で強い言葉を投げかけられることもあります。森田さん自身「出て行け」と言われたり、叩かれたりした経験があるとか。

「傷つくし、逃げ出したくなることもあります。でも、その人も本心で言っているわけじゃない。認知症という病気でそう言っているから、寄り添えるのかなと思います」

心が折れそうになった時は、上司や先輩に相談します。アドバイスをもらい、「次はどうしていこう」と考える。その繰り返しの中で、少しずつ関係が変わっていくことがあると言います。

「最初は暴言を吐かれたり、叩かれたりもします。でも、回数を重ねていくと、認知症の方でも何かしら感じてくれるのかなって。今はもう『何でもお任せ』って言ってくれる方もいます」
「経験の浅い若い人なら逃げ出したくなるけど、1回そこで踏みとどまって、ちょっと話を聞いてみてあげてほしい。2、3回後には、きっと何かしら変化があると思うんです」

無理をしてほしいわけではない。でも、最初の印象だけで終わらせず、もう少し関わってみる―。そこに、訪問介護ならではの関係づくりがあります。


楽しく働く姿が、夫の転職や子どもの進路にも影響した

森田さんの訪問介護への前向きさは、家族にも影響を与えました。

夕方に一度帰宅し、家のことを済ませて、夜にまた訪問へ出ることもあります。時間的には大変な働き方です。それでも、森田さんが毎日楽しそうに働く姿を見て、夫も介護職へ転職しました。

もともと夫は配送の仕事をしており、朝早くから夜遅くまで働く日々だったそうです。10年後もこの仕事を続けているのか―そんなふうに将来を考える夫に、森田さんは「介護をやってみたら?」と声をかけました。

「大変やけど楽しいし、やりがいがあるでって話していました。相手は荷物じゃなくて人。反応もあるし楽しいでって」
最初は乗り気ではなかった夫も、森田さんの話を聞くうちに介護へ興味を持ち、初任者研修を受けて、現在は介護施設で働いています。

さらに、お子さんにも影響がありました。高校生のお子さんは看護師を目指してオープンスクールに行き、上のお子さんも初任者研修を受けたそうです。

「親が楽しそうに生き生きしている姿って、すごく影響があるんだと思いました。嬉しかったです」

「いっぱい訪問したい」から選んだ働き方が、収入の手応えにもつながった

ロジケアに入社してしばらくすると、森田さんは固定給から歩合給へ変更しました。収入のためだけではなく、「もっと訪問に入りたい」という思いからでした。

「たくさん訪問するイコールしんどい、ではないんです。楽しいです。収入どうこうじゃなくて、いっぱい訪問したいと思って歩合に変えました」

結果として、収入面でも大きな手応えがあったそうです。前職では子育てとの兼ね合いもあり日勤のパート勤務でしたが、夜勤のないロジケアでは正社員として働き、頑張りが収入にも反映されるようになりました。

もちろん、訪問件数が増えれば体力的な負担もあります。夏の暑さや雨の日の移動など、訪問介護ならではの大変さもあります。森田さんでさえも暑さで辞めようかなと思ったことがあるとのこと。
それでも、水分補給や日焼け対策、空調服などを工夫しながら乗り越えてきました。

「自分が倒れたら訪問できないので」

利用者さんのもとへ行くために、自分の体調も守る。それも訪問介護員として大切な仕事です。


もっと多くの利用者さんと関わり、いつかケアマネージャーへ

「行くだけですごく喜んでくれる。利用者さんが喜んでくれるから楽しいんです」

森田さんにとって、訪問介護のやりがいはとてもシンプルです。
今日はどんな表情をしているかな。元気はあるかな。そう思いながら、訪問先のチャイムを押す。その瞬間が、今も楽しみだと言います。

これからは、ロジケアでもっと多くの利用者さんと関わり、「引き出し」を増やしていきたい。森田さんは、サービス提供責任者や管理者も経験し、さらに知識をつけて、ゆくゆくはケアマネージャーを目指したいと考えています。

現場に出ることが好きだからこそ、利用者さん一人ひとりとの関わりをもっと増やしていきたい。その積み重ねが、森田さんにとって次のステップにもつながっています。