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2025.11.06 Thu
2025年ロジケアは訪問介護員に
外国人技能実習生を受け入れます
ロジケアでは、インドネシア出身の外国人技能実習生4名を採用し、芦屋での生活支援と就労準備を進めています。先行して11月に2名インドネシア出身のイルナワティさん(27歳)とウムさん(24歳)がロジケアに到着しました。実際に彼女たちが日本で働き始めるのは、入国管理局の手続きが完了する12月から1月頃の見込みです。

Index
#1 「家には入れられない」訪問介護への受け入れが長く除外されてきた
#2 サ高住への人材不足対策か―訪問介護への解禁の背景は?
#3 「人手」ではなく「人」として 日本人と同等の待遇で向き合う
#4 多様な属性の人に介訪問護の職を提案してきたロジケア
#5 成功の鍵は「受け入れる側」にある 地域と利用者の理解と共存
#6 制度は変わった 日本社会はどう変われるか?
訪問介護は掃除・洗濯・調理・買い物などの家事支援も多く生活空間に深く入り込む仕事です。文化や言語、生活習慣の違いがトラブルにつながるのではないか―そうした懸念が根強く、外国人介護人材の受け入れは長く「施設内」にとどまり、「家庭内」に踏み込むことは制度上認められてきませんでした。
外国人の技能実習制度は1993年に創設され、当初は主に製造業などの分野で労働力として受け入れが始まりました。その後、介護分野への門戸が開かれたのは2008年頃、EPA(経済連携協定)を通じてのことです。
しかし対象は主に老人ホームなどの施設介護に限られ、外国人が利用者の自宅に入る訪問介護は長らく除外されてきました。
そして2025年4月、ようやくその制限が緩和され、訪問介護への受け入れが正式に解禁されました。
しかしなぜここに来て解禁されたのでしょうか?
この解禁の背景には、近年急増している「サービス付き高齢者向け住宅(以下 サ高住)」で、外国人実習生を活用したい事業者の意向があったのではないかと推察しています。
サ高住とは、施設介護の形をとりながら、実際には訪問介護・訪問看護の保険制度を利用して運営されるビジネスモデルです。こうしたサ高住系施設では、人手不足を補うために、一般的な介護施設と同様に外国人実習生を就労させたいという思惑が働いている可能性があります。
つまり今回の解禁は、一軒一軒の家庭を訪ねる従来型の訪問介護への道を開くためというよりも、サ高住における人材確保の手段として位置づけられたのではないか――そのようにも考えられます。
しかし、ロジケアはこの流れをチャンスと捉えました。
せっかく訪問介護が制度上解禁されたのなら、「地域社会で外国人実習生が活躍する、本来の訪問介護のかたち」を実現したいと考えています。

今回採用した実習生たちは、5年の滞在期間のうちに介護福祉士の資格取得を目指し、日本で働くことを決めたインドネシア出身の20代の若い女性たちです。
全員が、母国で待つ家族への仕送りを目的に来日しています。
彼女たち一人ひとりと面接を重ねる中で、前職では労働条件や生活環境が非常に厳しかったという話を聞きました。
狭い居住空間をあてがわれていた方や、日本人では到底受け入れられないほど低い給与形態で働いていた方もいました。
地方の農業や工業の現場で、外国人実習生が虐待を受けたというニュースを耳にしたことのある人も多いのではないでしょうか。
「外国人を安く使えればいい」という日本社会の風潮に対して、私は強い違和感と反発心を覚えます。
だからこそロジケアでは、実習生たちを単なる労働力としてではなく、一人の人間として受け入れ、生活面から支援することを大切にしています。
そのために、日本人と同等のワンルーム住居を用意し、日本での生活を支える計画を進めています。
介護の現場で共に働く以前に、「日本で安心して暮らせる」環境を整えること。
それが、この取り組みの出発点です。
ロジケアではこれまでも、さまざまな属性の人を対象にヘルパーの募集を行ってきました。
中高年のパートタイマーが多かったヘルパー職に対し、起業当初から新卒の若者を正社員として採用する取り組みを始めています。
さらに現役のスポーツ選手やシニア世代など、これまで介護の仕事に縁の薄かった人々にも積極的に働きかけ、多様な人材を受け入れられる仕組みづくりを進めてきました。どのチャレンジも、始めた当初は周囲から「そんなの無理だよ」と懸念されることもありました。
現在では若い人材の採用が定着し、複数のスポーツ選手が介護職員として活躍しながら長く働いてくれています。
こうした取り組みは、もはや珍しいものではなくなりつつあります。
今回の外国人実習生の採用も、その延長線上にある挑戦と捉えています。
この取り組みが成功し、外国人技能実習生の間で「訪問介護で働くのはいいよね」という声が広がれば、ロジケアへのヘルパー応募も増え、業界全体にも良い循環が生まれると考えています。

「母親の排泄介助を行うのは、日本人男性か外国人女性か。どちらがよいか」と問われたら、あなたならどう答えるでしょうか。
外国人人材の受け入れがうまくいくかどうかは、最終的に受け入れる側の意識にかかっています。コンビニや飲食店など、日常生活の中で外国人が働く姿を目にすることは珍しくなくなりました。
しかし、自宅という生活の場に外国人が入ってくることを、サービス利用者やその家族はどう受け止めるのか。そして、日本社会全体はこの変化にどう向き合うのか―
ヘルパー不足が深刻化する中で、「外国人を家に入れるな」と言われてしまえば、介護士を派遣することはできません。制度が整っても、現場が動けなければ意味がないのです。
幸いなことに、ロジケアではすでに外国人ヘルパーの受け入れに前向きな利用者もいます。「ぜひ連れてきてください」という声もいただいており、地域の中に理解の芽が確実に育ち始めています。
今回の訪問介護への外国人実習生受け入れ解禁は、業界にとって大きな転換点です。しかし、制度が整っても、それをどう運用するかは現場次第です。
“どのように働くか”だけでなく、“どう受け入れるか”を社会全体で考える必要があります。
制度上、訪問介護に外国人実習生の受け入れが可能になった今、ロジケアは率先して取り組み、先例をつくっていくことに使命感を持っています。この取り組みがうまくいけば、全国の訪問介護事業所が参考にできる先行事例になるはずです。
もちろん、うまくいかないことも出てくるでしょう。そのときには、「どうすればうまくいくのか」「何が課題だったのか」を整理し、次につなげていく。そしてそれを、業界全体が学び合える教材として共有していきたいと考えています。
施設型のサ高住でしか難しいと判断されるのか。
それとも、地域に根ざした訪問介護でも十分に実現できるのか。
その足がかりを、ロジケアが示していきます。

Written by
株式会社ロジケア代表取締役社長
佐野武 Takeshi SANO