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二刀流の仕事論 #01 プロ格闘技と訪問介護──異色のキャリア両立

2025.11.13 Thu

訪問介護事業所ロジケアにしのみやの和田哲平さんは正社員で訪問介護の仕事に従事しながらプロ格闘家としても活動しています。
キックボクシング×訪問介護という異色の二刀流をどのように両立させているのでしょうか?サービス利用者さんの反響は?職場の仲間たちは、先輩は?職場の上司である田栗主任と和田氏とで日々の両立のリアルを語っていただきました。

田栗 聖子 氏  ロジケアにしのみや管理者

ロジケア入社7年目。訪問介護員を経て主任に就任。現在は、問介護事業所ロジケアにしのみや(兵庫県西宮市)の管理者を務める。和田氏の入社以来上司として指導。キックボクシングと仕事を両立する彼をサポートしつつ温かく見守っている。

和田 哲平 氏  ロジケアにしのみや 訪問介護員/サービス提供責任者

ロジケア入社4年目。4歳から空手を始め高校時代に全国大会で優勝。その後プロ格闘家に転身。キックボクシングの試合に向けて日々鍛錬を積みながら、訪問介護員として活躍中。FASCINATE FIGHT TEAM所属。第5代DEEP☆KICK-65kg王者

新卒研修で目立っていた和田くん

田栗

本社の新卒研修を見学したときに和田くんを初めて見かけました。 12〜3人の研修生の中で男性は2人だけ。特に背の高い和田くんはパッとすぐ目についたのを覚えています。正直「介護できるのかな」と思ったけれど…

和田

自分でも「介護できるのかな」と思ってました。

田栗

まさか西宮に来てくれるとは。

和田

田栗さんとの初対面は「めっちゃいい人やな」という印象でした。自分の性格に合う雰囲気やなって。

格闘技続けられる環境を求めてロジケアへ

和田

空手は4歳から続けていて、高3のとき日本一になりました。次の挑戦としてキックボクシングに転向。就活の時に大学の先生が「スポーツと両立できる職場」を探してくれて、ここを紹介してくれたんです。面接をしてくれた樋口係長に練習時間の相談をしたら「8時からのプロ練に間に合うように」という話ができて、すぐ決めました。他社は受けてないです(笑)。

記者

キックボクシングの練習はどれくらいハード?

和田

試合がない時期は夜10時半くらいまで。試合が決まるとその後居残りの追い込みで深夜0時まで。出稽古の日は大阪の八尾まで行って練習が11時半に終わり、帰りは1時になることも。火曜はプロ練が9時から12時まで。…正直、バリ眠たいです(笑)。

利用者さんに人気「和田くんじゃないとイヤ」

田栗

女性の利用者さんは最初「男の子?」と身構える方も多いんです。でも最終的に「和田くんじゃないと嫌」と言われることが多い。介護士の担当を固定することはできないんですが、西宮になくてはならない存在です。

和田

たくさんお孫さんがおられる方でも、それとは別に孫のように親しんでくださるのが本当に嬉しいですね。

キックボクシングを応援してくださる利用者さんもたくさんいます。僕は自分からキックの話は基本してないんですけど。体つきの印象で「なにかやってる?」と聞かれたら答えるくらい。相手の話を受け止めて、相手に合わせて話すようにしています。

記者

仕事の中での「成長」を自分では?

和田

最初は“人の家に入る”こと自体に戸惑いがありました。価値観もこだわりも人それぞれ。でも訪問を重ねるうちに、「この人にはこう接するといい」がだんだん分かってきて、行くことへの抵抗はなくなりました。

ハードな練習でも遅刻なし、でも減量はキツい…!

田栗

激しい練習で相当体力を使っているはずなのに、翌日は時間通りに仕事。遅刻もしない。本当に偉いと思います。

入社当時は、「遠い」とかよく文句言ってましたけれど、もう今は全然。どんな遠いところでもすごい頑張ってくれてます。

和田

試合前は週6で練習、睡眠は4~5時間。疲労が溜まるし、減量が入ると機嫌に出てた時期も(笑)。最近は「減量始まったな」と冗談で言われるくらい。イライラを出さないようにすると今度は無口になっちゃう。難しいんですけど、感謝してます。正社員で格闘技を続けられる会社って本当に少ないから。

記者

両立にあたり職場の配慮や工夫は?

田栗

基本は全スタッフ共通ですが、希望休・有給の調整で練習に充てられるようにしています。私にできる協力はシフト調整くらい。

和田

計量前日は水抜きで動けないので休みをいただきます。1週間前に体重が重いと、急に走らないといけないとか食事を絞らないといけない。そんな時もシフトを調整してもらえて助かっています。

記者

周囲の“巻き込み効果”も?

和田

僕の減量の影響で主任もダイエット始めました(笑)。新しく入ったソフトボール部の子も一緒に減量始めたり。…でも、短期間で脱落したのか事務所で甘いもの食べてるの見てしまいましたけどね(笑)。

田栗

「ダイエットしなあかんな」と思わされますね。筋トレジムも申し込んだりして。確かに影響はありますね。

自分のため 喜んでくれる人たちのため

和田

職場のスタッフはABEMAの中継で試合を見てくれていて。勝ったらまず「利用者さんに報告しよう」と思う。勝ち負けの報告を楽しみにしてくれている方もいる。チャンピオンベルトを担当先に持って行って見てもらったこともあって、喜んでくれる顔がモチベーションです。

田栗

和田くんが担当している利用者さんが試合前に入院されていて、病院から「どうやった?」と事務所に電話があったことも。みんな本当に気にかけてくれています。

これからの目標

記者

田栗さんはどんな上司?

和田

人柄ですよね。 めちゃくちゃいいんですよ冗談抜きで。僕なら怒ってしまう場面でも普通に接していて、僕にないものを持っている人だなと思います。

田栗

自分はもともとのんきっていうか、あまり人に対して腹が立たない性格みたいです。でもつい一人で抱え込みがち。みんなに助けてもらいながらやっています。目指すのは「長く、楽しく働ける職場」。みんなが稼げてハッピーになれるよう、シフトは効率よく回れるようバチッと詰めるのがやりがいです。

和田

僕は“主任の右腕”になれるように。性格的に“仕事を全力”に振り切ると格闘技ができなくなるので、30歳まではリング最優先で全力。そのうえで西宮の力になれるよう少しずつ。チャンピオンになって「こんな社員がいる会社なんだ」とみんなにロジケアを誇りに思ってもらえたら嬉しいです。