つながり

事業所だより・
イベントレポート

最初は「創業詐欺かも」と思いました。クラファン支援からわずか5ヶ月で、ロジケアひろしまができるまで。

2026.05.29 Fri

2026年5月、広島に「ロジケアひろしま」がオープンしました。

私、住吉はもともと、ロジケアの社員ではありません。広島で、福祉用具のベンチャー事業を起こそうとしていた一人の起業家でした。

起業ためのクラウドファンディングに、ロジケアの佐野代表が支援してくださったことから、話は動き始めます。

「ロジケアとして、広島で福祉用具貸与事業所を立ち上げないか」
そうオファーをくれた佐野代表。

「なんで私なん?」
「もしかして、創業詐欺では?」
そう疑っていた私。

それでも、出会いから半年も経たないうちに、ロジケアひろしまは本当に開業しました。

これは、クラウドファンディングから始まった、少し異色の開業前夜の話です。


クラウドファンディングに、5万円の支援が入った

私がロジケアと出会う前から取り組んでいたのが、「フォロフク」という事業です。

福祉用具メーカーと貸与事業所、そして利用者さんの声をつなぐプラットフォームを作りたいと考えていました。福祉用具の現場には、ヒントが山ほどあります。

「こういう物が欲しかった」
「ここが使いづらい」
「ここを誤って操作して故障しやすい」

相談員として利用者さん宅を回っていると、そういう声や気づきは日々出てきます。でも、その声がメーカーの改善や試作につながっているかというと、まだ十分ではないと感じていました。

メーカーから商品が出て、卸を通じて貸与事業所に届き、利用者さんへ提案する。この流れはあります。

でも、逆がないんです。

利用者さんや相談員が感じたことを、メーカーの改良や開発へ戻していく流れが弱い。そこを何とかしたいと思って、フォロフクを立ち上げようとしていました。そのためにクラウドファンディングを始めました。

リターンはいくつか用意していて、その中で一番高額だったのが5万円のリターンです。内容は、実際にお会いして、フォロフクのプラットフォームについて意見をいただく、というものでした。
正直、本当に5万円を出してくださる方がいるとは思っていませんでした。

でも、支援が入りました。

表示された情報は、名前とメールアドレスだけでした。そこにロジケアのドメインらしき文字があったので、「これはロジケアの佐野代表でお間違いないでしょうか」とメールしました。すると、「芦屋のロジケアの佐野で間違いないです」と返信をいただきました。
5万円のリターンを選んでくださったのは、佐野代表だけでした。

そこから、広島でお会いすることになりました。

事業所前に通る市電


「なんでやねん」初対面で、まさかの新規出店オファー

もともとは、クラウドファンディングのリターンとして、広島でフォロフクの説明をする場でした。私は、フォロフクで何をしたいのか、福祉用具業界にどんな課題を感じているのか、メーカーと貸与事業所をどうつなぎたいのかをお話ししました。

その後の会食の場で、佐野代表から思いがけない話が出ました。

「フォロフクのようなプラットフォームは、軌道に乗るまでは赤字事業になる。生活のこともあるだろうし、給与を得ながら、その給与をフォロフクに投資していく形が一番いいのではないか。それは自分自身にとっても、市場の勉強になるのではないか。」

そして、佐野代表自身も広島や福岡など、西方面に出店したいという構想があった。

そういった話をしてくださったうえで、「もし住吉さんや山口さんが本当に嫌じゃなければ、広島拠点の管理者という形で提案させてもらえないか」と言っていただきました。

山口は、フォロフクの構想段階から一緒に関わってくれているメンバーです。

出会いは福祉用具の現場ではなく、前職を辞めた後につなぎで働いていたアルバイト先でした。私が「フォロフクをやりたい」と話したところ、「一緒に働きたい」と言ってくれました。
山口にはデイサービスや障害者支援の経験もあったため、一緒に進めていくことになりました。その山口も含めて、ロジケアの広島拠点の立ち上げを提案されたわけです。

でも、私の最初の反応は、「ぜひお願いします」ではありませんでした。
本当に、「なんでやねん」という感じでした。

私の何を見て、そう考えたのだろう。私じゃないといけない理由が、何かあったのだろうか。驚き半分、うれしさ半分。でも同時に、かなり戸惑っていました。

ロジケアとフォロフクの看板が並ぶ広島事業所




疑いながらも、「一度飛び込んでみよう」と思えた
理由

ここは正直に書きます。
私は最初、「創業詐欺かも」と思っていました。クラウドファンディングの支援者として現れた方が、実は介護・福祉事業を展開する会社の代表で、初対面に近い場で新規事業所の管理者を任せたいと言ってくる。そんな都合のいい話、普通に考えたら警戒します。

私自身、実家がものづくりを家業にしていて、創業や経営にまつわる怖さも身近に見聞きしてきました。祖父が創業当初、知識が十分でなかったために、特許技術になり得るものを大きな会社との取引の中で手放す形になってしまった、という話も聞いています。
知らないことは怖い。事業を始めるなら、自分で守らなければいけないものがある。
だから、佐野代表に対しても、最初から完全に警戒を解くことはできませんでした。音声や書類を残し、知識のある人にも相談する。もし何かあった時に、自分の事業と人生を守れるようにしておく。それは、私にとって必要なガードでした。
ただ、疑いながらも、佐野代表に対して「この人は違う」と感じていた部分もありました。

創業詐欺や、ベンチャーが不利な条件で巻き込まれていく話を見聞きしてきた感覚からすると、佐野代表はそうではない。第一印象ややりとりを含めて、本当に信用できる方だと思いました。
もちろん、その場で即答はできませんでした。山口とも話し、家族にも相談し、1週間ほど考えました。

最後は、たぶん勘です。

必要なガードはしたうえで、この人なら一度飛び込んでみてもいいんじゃないか。そう思えたことが、私がロジケアひろしまの立ち上げに向かう最初の一歩になりました。

「フォロフクはロジケアの事業になるんですか?」と聞いた

佐野代表を信頼できると感じた出来事は、いくつかあります。一つは、フォロフクの扱いについてのやりとりです。

ロジケアに入社するということは、フォロフクがロジケアの一事業になるということなのか?そこで生まれた利益は、ロジケアのものになってしまうのか?祖父の特許の話と同じように、結局、大元の利益になるのではないか―そういう警戒がありました。

なので、かなり単刀直入に聞きました。

「貸与事業所をやりながらフォロフクをすることは、ロジケアの傘下に入るということですか?」

今思えば、かなりぶしつけな質問だったと思います。

でも、佐野代表は「そうではない」と言ってくださいました。フォロフクは別事業で、私の法人のままでいい。ロジケアがお願いしているのは、ロジケアの社員として一緒に働きながら、事業を展開するという意味だ。そう言っていただきました。

社員として雇う以上、フォロフクも取り込むメリットもあったはずです。それでも、そうは言わなかった。

その懐の深さに、私は感動しました。

ふたりでスタートしたひろしま事業所


てんかんを発症しても、話は白紙にならなかった

もう一つ、大きかった出来事があります。立ち上げのやりとりをしている時期に、私はてんかん発作を起こしました。

福祉用具の仕事は、車移動が多い仕事です。利用者さん宅への訪問や居宅介護支援事業所への営業、用具の納品や確認。運転に制限が出ることは大きな問題です。

正直、それが原因で、全部白紙になるかもしれないと思いましたが、正直に報告しました。

すると、佐野代表も、福祉部長も、看護部長も、澤係長も、まず「言いにくいことを言ってくれてありがとう」と受け止めてくださいました。

そのうえで、「それならそれで、できる施策を考えよう」と言ってくれました。

看護部長からも、発作について気軽に相談してねと声をかけていただきました。佐野代表からは、てんかんなら、それはそれとして方法を考えればいいだけだと言っていただきました。

てんかんだからといって、この話をなかったことにはしない。
住吉さんだからお願いしているんだ。

そう言っていただけて、とても肩の力が抜けました。

てんかんは、症状が特徴的なだけに、周囲の理解を得づらい疾患でもあります。発作が続くと日常生活にも支障が出る、厄介なものです。それに臆することなく、「方法を考えればいい」と言い切ってくださったことは、私にとってとても大きかったです。

ここまで言い切れる佐野代表には、経営者の大先輩としても、人としても、学ばせていただくことが多くあると思いました。
ここまで事情を理解してくださっている方に、疑いすぎるのは失礼かもしれないと思うようになりました。


ロジケアで感じた、選定を大切にする福祉用具の考え方

広島での開業に向けて、私と山口は兵庫県芦屋市のロジケア本社で研修を受けました。

私自身は福祉用具貸与事業所での経験があり、資格もありますが、すり合わせのために前職はいったん置いて、山口と一緒に学び直しました。

研修で印象的だったのは、業務が仕組み化されていて、相談員が本来の仕事に集中しやすい環境が整えられていることです。社内の相談や発注、日々の業務が用途ごとに整理されていて、どこで何を確認すればいいのかが分かりやすい。そうした仕組みがあることで、利用者様への提案や日々の業務に集中しやすいと感じました。

そして、開業前の営業同行で強く感じたのが、ロジケアの福祉用具に対する考え方でした。

福祉用具の営業では、価格や搬入までの早さを強みにする会社もあります。ベッドや車椅子なども、「すぐに持っていけます」とスピードを前面に出すことがあります。

もちろん、ロジケアも必要なスピードには対応します。でも、それだけを強みにするのではありません。きちんと相談を受け、利用者様の状態やご自宅の環境を見て、的確なものを選ぶ。

ロジケアは、利用者様に寄り添った在宅事業を20年続けてきた会社です。その積み重ねがあるからこそ、福祉用具でも「選定の質」を大切にしているのだと感じました。

広島は、貸与事業所も居宅介護支援事業所も多い激戦区です。実際、営業先では「スピードは大手の方が速いから」「使っている卸が一緒なら、物は同じでしょう」と言われ、難しさを感じることもあります。

それでも、福祉用具に拒否感がある利用者さんは確かにいます。福祉用具は、年寄りくさいものではない。クラシックケインズの杖など、ロジケアの取り扱う商品に共感してくださる方もおられました。

事業所のドアステッカー
オープン記念のコチョウラン


なぜ佐野代表は、私に声をかけてくれたのか

今でも、なぜ佐野代表が私を支援してくださったのか、考えることがあります。代表がおっしゃっていたのは、創業当初の自分と似通っているものがある、ということでした。

それは何なのか―

私なりに考えてみると、たぶん「無謀を現実に落とし込む考え方」なのかなと思います。1から大金をかけて何かを作るというのは、ある意味、無謀です。でも、その無謀が現実的になるように、一つひとつ現実に落とし込んでいく私は、そういう考え方をなんだかんだ知っているように見えたのかもしれません。

石橋を叩いて割るほどでもない。
でも、何も考えずに走っているわけでもない。
石橋を補強しながら進んでいるように見えたのかなと思います。

佐野代表も創業当初は、最初から大きな融資を受けて始めたわけではなく、少しずつ案件を積み重ねて、利益を生んで、今の形を築いていったそうです。そのやり方と、私の進み方が少し似ていたのかもしれません。

もしかすると、代表が築き上げてきた経験値を、あの時の自分に渡してあげたかった、という気持ちで私に向き合ってくださっているのかな、と勝手に思っています。


ロジケアひろしまは、まだ始まったばかり

2026年5月にオープンしたロジケアひろしまは、今は、私と山口の2人体制です。

開業準備中には、山口が業務に慣れるのに大変だった時期もありますし、私自身も発作で病院に行くことがありました。細かなトラブルもありましたが、おおむね良好に進んできたと思います。

開業後も、澤係長や早光主任が営業フォローのために広島へ来てくださっています。土地勘は、私や山口が補う。制度面や福祉用具の知識面は、ロジケアの先輩方が支えてくださる。

今の悩みは、てんかんの発作と、フォロフクの社長業と、ロジケアひろしまの管理職としての仕事を、どう両立していくかです。不安がないわけではありません。でも、最初から全部を完璧にできるとは思っていません。できることを一つずつ、小さくして、積み上げていく。

そんな形で、少しずつ広島の事業所は動き始めています。