つながり
事業所だより・
イベントレポート
2026.06.12 Fri
私には、ロジケアひろしまの管理者という仕事とは別に、もう一つ取り組んでいることがあります。
福祉用具メーカーと貸与事業所、そして利用者さんの声をつなぐプラットフォーム「フォロフク」です。
フォロフクを立ち上げようと思ったのは、福祉用具の現場で働く中で、現場にはヒントが山ほどあるのに、それが改良や開発につながっていないと強く感じたからです。
私はもともと、介護職としてキャリアを始めたわけではありません。
四国の香川で生まれ、短大を卒業して、新卒でモーターメーカーに就職しました。
結婚して26歳で広島に来るまでは、香川で過ごしていました。
実家は自営の家系です。
父方の祖父が創業した会社があり、父と叔父が経営に関わっています。小さい頃から、独立や事業をつくるということは、どこか身近にありました。
私自身も昔から、何かしらの形で事業をつくりたいと考えていました。
でも、いきなり始めるより、まずは大きな組織で組織運営の仕方を学び、実績をつくってから事業をつくった方が成功確率が上がるのではないかと思っていました。
だから、新卒から5年間、メーカーで正社員として働きました。
製造現場で日々の製造管理をしたり、業務効率化のプロジェクトリーダーをしたり、新人教育担当者や社内研修講師も経験させていただきました。
その一方で、週末には祖父の在宅介護にも関わっていました。
そこで、福祉用具に出会いました。
祖父は、家業の創業者ということもあり、人に介護されることをあまり好まない人でした。
階段昇降機、手すり、介護ベッド。
そうした福祉用具にお世話になりながら、在宅で過ごしていました。
最終的には何度か脳梗塞で倒れた後、誤嚥性肺炎で亡くなりました。
でも、最後まで本人の自立精神やポテンシャルを尊重しながら、24時間利用者に寄り添い続ける存在として、福祉用具がありました。
私はそこに興味を持ちました。
家業も、新卒で入った会社も、いわゆるものづくりの会社です。そのものづくりと介護の掛け合わせの立ち位置が、福祉用具なのではないかと思ったんです。
利用者さんにお話を聞いて、「こういうものはどうですか」と提案することは、性格的にもできる気がしました。
一方で、ヘルパーさんのように直接ケアをする仕事には、自分はとことん向いていないとも感じていました。
用具を提案することと、日々ケアすることでは、求められるものが違います。
介護職不足が進んでいく中で、人ではないものがケアできるとしたら何だろう。
そう考えた時に、私の中で浮かんだのが福祉用具でした。
メーカー在職中に、初任者研修と福祉用具専門相談員の資格を取得しました。
地元の福祉団体に行ってボランティア活動もしました。
そして、前職の福祉用具貸与事業所に転職しました。

福祉用具貸与事業所で相談員として働く中で、私は一つの違和感を持つようになりました。
現場で感じている課題やニーズが、メーカーの改善や試作へつながりにくい構造があるのではないか、ということです。
利用者さんの身体状況や生活環境は、一人ひとり違います。
だから、現場では本当に細かな気づきがたくさん出てきます。
「こういう物が欲しかった」
「ここが使いづらい」
「ここを誤って操作して故障しやすい」
そういう声は、日々あります。
もちろん、大手卸や大手貸与事業所を中心に、メーカー側が一定数のヒアリングや市場調査をしていることは理解しています。
大手には大手の強みがあります。
標準化、供給力、教育体制、広域対応など、大規模だからこそ実現できる価値があります。
一方で、中堅や地域密着型の貸与事業所だからこそできる、柔軟な提案や細かな対応、地域特性に合わせた工夫も数多くあります。
今は大手によるM&Aも活発ですが、利用者さん一人ひとりで身体状況や生活環境が異なる福祉用具業界において、すべてを一つの形へ置き換えていくことは、現実的に難しいと感じています。
だからこそ、大手・中堅・地域密着、それぞれの現場で埋もれている声や知見を、試作・改善・ニーズ検証へつなげたい。
そして、それぞれの貸与事業者の差別化にもつながる仕組みが必要だと考えるようになりました。
それが、フォロフクを立ち上げようと思った一番の理由です。

フォロフクでやりたいのは、メーカーと貸与事業所をつなぐことです。
メーカーさんが、ある程度仕上がった商品や、耐久性などの基準を満たした商品をプラットフォームに掲載する。
それを見た貸与事業所が、「これなら、うちのエリアの利用者さんに合うかもしれない」と思ったら手を挙げる。
商品が届いて、利用者さんが気に入れば、そのままレンタルや購入につながる。
もし合わなかった場合も、何が合わなかったのかをメーカーに伝える。
そういう仕組みを作りたいと考えています。
メーカーと利用者さんを直接つなぐのではなく、福祉用具貸与事業所を通してつなぐイメージです。
利用者さんの暮らしや身体状況を知っている相談員が間にいるからこそ、ただ商品を試すだけではなく、実際の生活に合うかどうかを見られると思っています。
大手メーカーは、大きな貸与事業所や卸にヒアリングする機会があります。
でも、ヒアリングのタイミングが量産確定後だったり、営業に近い形だったりすることもあります。
中小や中堅の貸与事業所は、声を上げづらい。
そして、貸与事業所側も多忙すぎて、声を上げたくても上げられないことがあります。
フォロフクでは、その両方の課題をつなぎ直したいと思っています。
ロジケアひろしまをどんな事業所にしていきたいかと聞かれたら、私は「会社として選ばれる事業所にしたい」と答えます。
広島は、貸与事業所も居宅介護支援事業所も多い激戦区です。
その中で、相談員個人の人柄や対応だけに頼るのではなく、ロジケアという会社として選ばれる事業所になりたい。
担当者が最適な選定をするのはもちろんですが、誰に変わっても安定した選定の質の高さを維持できる仕組みづくりに努めたいと思っています。
そして、「次もぜひロジケアさんに」と言われる事業所にしたいです。
もう一つ、私が大切にしたいのが、福祉用具の見え方です。
福祉用具と聞くと、一般の皆さんは身構えてしまうかもしれません。
でも私は、福祉用具は車やバイクと同じ、日常の相棒・愛車のような存在だと思っています。
私自身も疾患があるので、杖や車椅子はかなり身近な存在です。
だからこそ、その感覚を利用者様にも浸透させていきたいと思っています。
マツダの言葉のようになりますが、別の意味での「Be driver」です。
自分の人生のハンドルを自ら握り、新しい世界を切り拓く利用者様を、福祉用具というパートナー選びのお手伝いから支えたい。
ロジケアひろしまを、そんなことを体現できる事業所にしたいです。

私は、自分のことを天才タイプだとは思っていません。
地味にコツコツタイプの、ほんまもんの凡人だと思っています。
今でこそ、佐野代表とのご縁もあり、いろいろな方面で助けてくださる心強い専門家もいます。
でも、最初からそうだったわけではありません。
資金も、人も、環境も、完璧に揃うことなんてありません。
だから、独立や新規出店に興味がある人には、今この瞬間からできることを文章化し始めることをおすすめしたいです。
一見大きな夢に思えることも、文章にして細分化していけば、難易度は下がります。
たとえば、最終的に店を作るとなると、少し物おじすると思います。
でも、店を作るために不動産屋さんを調べるとか、必要な資格をネットで調べるとか、先生が話しているセミナーで勉強するとか、そのレベルなら、いつでもできます。
最初から完璧に出店して、1億円かけてやるんだと考えるから、どんどん動けなくなる。
よくよく考えてみたら、最初の一歩は、調べる、書く、聞く、勉強する、そのくらいの積み重ねです。
朝起きてご飯を食べるくらいの難易度まで下げることができれば、意外と進めます。
問題は、それを継続できるかどうかです。
逆に言うと、継続できるレベルまで下げればいいのだと思います。
最初から完璧を目指すのではなく、必要な知識を拾いながら、ときには人の力を借りながら進めばいい。私は、そう考えています。
フォロフクは、ロジケアの中で生まれた社内ベンチャーではありません。あくまで、私自身が別事業として立ち上げようとしている取り組みです。
ロジケアで働くようになって感じるのは、何かを目指している人を、全否定する会社ではないということです。
ロジケアの社員の方には、プロスポーツに取り組んでいる方など、それぞれに目指すものを持っている方がいます。
現実問題として、それだけで食べていくのは難しいこともあります。
それは新規事業に限らず、いろいろな挑戦に共通することだと思います。
でも、ロジケアは、そこをかなり尊重してくださる会社だと感じています。
もちろん、仕事としての責任はあります。
私もロジケアひろしまの管理者として、一定の新規件数など、やるべきことがあります。
それでも、フォロフクについては、時間内に打ち合わせをしても構わないと言っていただいています。
このオフィスも、ロジケアひろしまとフォロフクで兼用しています。
本当に、いろいろ許してもらっていると感じています。
だから、独立してみたい、何かをやってみたいという人は、いきなり社長に言わなくても、まずは上司から言ってみてもいいのではないかと思います。
言ってみる価値はある企業文化だと思います。


祖父がよく言っていた言葉があります。
最終的に、三方よし、八方よしの仕事をすれば、そのご縁は循環していく。
それが何よりの皆様への恩返し。
感謝を忘れず、凡事徹底。
どうせ皆、等しく死ぬのだから、悔いのない選択をしていってほしい。
もちろん、生活できる範囲で。
私は、その言葉をそのままお伝えしたいです。
大きな夢を持つことは、少し怖いです。
人に話すのも怖いし、失敗するのも怖い。
でも、今日できる一歩にまで小さくすれば、進むことはできます。
福祉用具の現場で感じた違和感を、メーカーと貸与事業所をつなぐ仕組みに変えていくこと。
広島で、利用者様に合う福祉用具を届けること。
その両方を、私はロジケアひろしまとフォロフクで進めていきたいと思っています。
ロジケアひろしま
福祉用具貸与事業所
管理者
住吉 真由 Mayu SUMIYOSHI